前回まではこちらです。
今年の春先、産経新聞で岩国のメガソーラーの記事が掲載された。産経は昨年、別件でお付き合いした事があるのでこの記事を書いた記者を探して話しを聞いた。
写真:産経新聞 https://www.sankei.com/article/20220317-EFBB6A24HJJABLA72M7BBZXT3Q/ |
それは自分が「上海電力」と言うキーワードを初めて知ってからまだ数日も経たないうちだった。
記者の小沢氏は
「実は他にも◯◯と◯◯で建設が始まっているんですよ。」
暗澹たる気持ちになった。
その後、上海電力に着火。あっと言う間に燃え拡がった。
最初は違和感として。
次に不可解なものとして。
物流に欠かせない情報としてJANコードと言う規約がある。いわゆるバーコードだが、日本ではJAN、米国ではUPC、欧州ではEANコードとそれぞれの地域で規格されており、またそれぞれに互換性を持たされている。
これには製造された国や製造メーカー、品目が記録されており、このコードを読み込めばその商品の生い立ちや成り立ち、それは日本で言う戸籍付住民票の様なものであり、その商品のほぼ全てが簡単に判る様になっている。
従って製造メーカーも輸出時にはこのコードが印字されたシールをしっかりと貼り、通関の手間をかけない様に配慮されており、受け取り側もまた貿易上の煩わしさや、商品の間違いなどが起きないよう簡単に管理出来るように配慮され、現代貿易の基本中の基本になっている。
一方でもうひとつ。同じ様な仕組みでストアコードと言うのがある。
正式にはインストアバーコードと言うが、これは商品入荷(受け取り)後、受け取り会社が独自のコードの割り当てのバーコードを印字して商品に貼る場合がある。いわば自社コードであり、何がどこにどれだけあると言う、販売や経理上の煩雑さを避けるためにあると言って良い。
そこにある全ての写真を探したが、日本に向けて出荷したはずの商品にJAN コードが無い。いや欧州向けのEANでも良いし、米国向けのUPCでも良い。しかし結果、そのいずれもが無い。
通常、JANコードは以下のようになっている。
- 最初の二桁が国(実際には三桁が多い)
- 次の五桁が製造メーカー
- その後が商品アイテム
最後がチェックデジットと言い、このコードの数字が改竄されいないか否かを検査する数字となっている。つまり商品が偽物では無く「間違いなくその会社で作られた製品である」と言う真贋を証明する大切な証書だ。
チェックデジット:
最初の国番号は以下の通り(現在は三桁が主流):
因みに、
- 中国 690-699
- 香港 489
- マカオ 958
あの北朝鮮にも割り振られていて867と、なっている。できれば893でいてほしかった。
この十年ほどは中国のメーカー側が「当社の商品はJANコード(日本向けの商品を意味する)を取っていますよ」と言うのが、むしろ商品を売る側のセールスポイントとなっている。
それに従いながら写真のある限りのバーコードをJAN、EAN、UPCで探したが、いずれも適合していなかった。あるのはストアコード(製造メーカー内部の自社内の目印)と思われる。その理由はいずれも2ではじまっている為。
因みに当社の取扱商品は台湾のメーカーで、製造は上海か湖北の工場で作っている。そのJANコードを調べると、ちゃんとその様に表示される。
本来なら商品や会社の信用を得る為に、むしろ積極的にコードを導入して取り入れるのが常識だが、なぜそうしないのか?と言う点から考えてみると、次の可能性が出てくる。
- 製造国を示せない
- 製造場所を示せない
この二点以外に可能性でも良いので、どんな理由があるのか知っている方がいたら教えて欲しい。
米国が中国に対し殊更厳しい貿易制裁を敷いているが、それを掻い潜られない為にどうやって水際で『中国から来た荷物なのか?』と判断するのか?
- コンテナがどこから来たのか?
- シッピングインボイス
- 商品のコード
で判断する。
この厳しい関税を掻い潜って米国に商品を送ろうとした中国は、マカオに対しこの様なモーションを掛けたことがある。
2021年9月6日に書いたが、ことは同年7月21-22日にかけてマカオ政府がアナウンスした内容をそのまま記載した。
このアナウンスで一番のポイントはここだ。
マカオにある会社がプロデュースした製品は中国の会社のモノであってもmade in macauを名乗れる
つまり『メインド・イン・チャイナ』であっても、マカオの会社がシッパーとなって送り出した商品は『メイド・イン・マカオ』と名乗れるから、皆さん貿易に力を入れませんか?と言い出したのだ。
もちろんこんな事に騙されるほど、マカオ人は無知では無い。すぐにこの問題は香港問題だと気がついた。それについては改めてJETROの短信を貼り付けておく。
つまりこれらは、米国が香港の貿易における優遇措置を取り消した事に対し、慌てた中国政府がマカオに声を掛け、中国の製造品のアウトプットをそれまでの香港にかわりのポート(港)としてマカオにしようと企んだものだった。
これら一連の動きは米国にすぐにバレて、米国は即座に反応した。
「香港から出ようがマカオから出ようが、中国で作っていたらそれは〝メイド・イン・チャイナだ!〟」と明確に言い切った。これで中国はマカオを使う事を頓挫。貿易に関し完全に手詰まりとなった。
「諦め悪くジタバタしてマカオに声を掛けたんだ」と、マカオ人は鼻で笑った。が、しかしその後、別の国に声を掛け、その声を掛けられた国の自治体がまさかそれを受け入れ判断をするとは夢にも思わなかった。
今回ご意見をお寄せいただいた武漢新港管理委員会とのパートナーシップ港提携につきましては、令和3年11月に先方から問い合わせがありました。
背後圏に多くの日系企業等が進出している武漢港と大阪港の間では、令和元年11月にコンテナ航路が開設されています。提携により、大阪港・府営港湾の利用者や荷主に対し、より利便性の高いサービスや新たな輸送経路の選択肢を提供する可能性が広がることで、今後、取扱貨物の増加が期待できるため、先方から希望のあった令和3年12月16日にパートナーシップ港提携に関する覚書を締結しました。
正直めまいがした。
中華人民共和国の一部であるマカオ特別行政区の人々が、その目的の本質を見抜き、誰一人手を挙げなかった案件である。よりによって3,000km離れた我が祖国の日本。それも第二位の規模を誇る自治体である大阪が手を挙げるとは!これを〝恥〟と思わない感性にドン引きした。
原産地や工場が分からない商品を貿易港でロンダリングする。
これは実は昔から良くある手法で、武器や麻薬の密輸、売買で用いられる手法であり、第三国が良くやる手口である。それを大阪が受け入れるとは…。
それを知っていたのか?と思わせる動画がある。とある自治体の首長がウッカリ口を滑らせたのかこんな事を言っている。
「(貿易の)荷物の情報交換をしたり…」(1:50〜)
「荷物の情報交換」って…。あんたそれ、どう言う事よ?米国に日本が制裁を受けても良いのか?と言いたくなる。
本稿の冒頭で書いた通り、日本は中国の債務国では無い。従って一帯一路が「スリランカの様になる」と騒ぐ連中の言葉に、耳を貸す必要は無い。
しかしそれとは別の一面。それは『貿易ロンダリング』と言う同盟国の制裁逃れに、我が祖国〝日本〟が加担すると言う最悪のシナリオになる事。私はそれを恐れるものである。
「一帯一路は(AIIBとかの)国際金融なんです」
などと寝ぼけた答弁をしているが、松井一郎はうっかり口を滑らせ「荷物の情報交換」と、この一帯一路、湖北 - 関西パートナーシップの本質を理解している事を露呈した。
これに関しては然るべきルートで手を打っておくが、米国の厳しい制裁逃れを日本が手伝っていた、となったら大問題では済まない話になる。
逆に言えば中国は〝地方自治体〟と言う政府・行政機能の脆弱性を突いてきた。中には霞ヶ関の官僚だったり海外のトップ企業から地方議員になった優秀な方もいるが、ひどいのになると経歴ロンダリングをしているライン工だった人物までいる。
たまたまその頃、当該会社のスポンサーシップを得た事があり、地方のレースに行った際、工場見学をさせてもらった事があるが、そこを地方の本社と偽ってご自身の経歴をキラキラさせているのがいた。
そう言う脆弱な地盤を相手は狙ってくるのである。相手は英語も万全。日本語もキッチリと勉強し対応してきている。一方の防戦する側はGoogle翻訳だ。これではもう戦う前から勝負あった、である。
これで一帯一路の持つ日本に対する危険性の具体例の一つの説明を終わるが、とにかく後出しジャンケンを平気でやってくる。その部分を念頭に置き、細かく細部を見ていく事が結果的に致命傷を負う事を防ぐ、防戦の第一歩と考えるものである。