一帯一路 どうして危険か? @日本側では防げない理由 前編

「どうして一帯一路は危険なのか?」について説明します。



まず〝一帯一路〟とは何か?
と言うところから説明します。

中国・イラン、反米で接近 米欧は一帯一路に対抗(日経新聞)



一帯一路とは習近平国家主席が掲げた【中国梦(中国の夢・日本語)】と言う、壮大なテーマを構成する重大要素です。細かく言うとそれだけで論文が書けてしまう程の量になってしまう為、wikipediaに良く纏められているのでここから引用します。

 

定義


「中国の夢」は「中華民族の偉大なる復興」と「一帯一路」、二つの部分が構成している。かつて東は中国から西はローマ帝国に及ぶ広大なシルクロードを勢力下に置き、鄭和の艦隊がアフリカの角にまで進出して文化や経済と科学技術をリードした中国の栄光を取り戻す」という意が込められている。

中国共産党による公式的な解釈


中国最高指導者や中国共産党総書記の立場である習近平が発表した中華人民共和国の思想であり、中国共産党第十八回全国代表大会以来、第5世代中央指導グループの執政理念でもある。

また、これについてどの様に提唱され、そして導入されたか?は、政治ジャーナリストの山口敬之氏が、非常に分かりやすく簡潔に纏めております。
 

中国が現在世界中で推進している「一帯一路構想」は、2013年9月7日、習近平がカザフスタンの首都ヌルスルタンで行った演説で「シルクロード経済ベルト」構築に端を発する。

ではこれがなぜ危険なのか?

まず最初に挙げられるのは、これはその国の最高指導者の思想であり、理念です。
法制化されてはいません。

『法律じゃなかったら問題ないだろう!』

と、思うでしょう。

しかしそれは違います。
「だからこそ危険なのだ!」
と、私は声を強くして言います。

この法制化されていない、一つのテーマ。
これに異を唱えると、どうなるのか?

例えば日本に於いて〝アベノミクス〟と言う、時の首相の方針を示す言葉に賛成も反論も何を唱えても自由です。
日本は〝法治国家〟ですから。
思想も理想も概念も夢も、全て個々の責任の範疇に於いて、法を犯さない限り、何でも語れます。

しかし、もし彼の国で〝中国の夢〟〝一帯一路〟に異を唱えると、どうなるのか?
逮捕です。
それはもう、立派すぎるほど立派な【国家反逆罪】と言う重罪になります。
そしてそれは、中国以外の外国に対しても、中国人以外の外国に住む人であっても〝対象〟なのです。

これ以上、危険なことは無い。

つまり、

【中国の夢】


【一帯一路】


には、誰も異を唱えられない構造になっていると言う事を、我々日本人はまず最初に押さえておかなければなりません。

従ってTwitter等、SNS上で安易に議員が
『港湾のMOUを破棄させます』
等と言わない事を薦めます。

私が
「そこは国と協議し、対処を相談して」
と言っている理由はそこにあります。

これは上記の山口氏の記事中にありますが、〝一帯一路〟は国と国との【外交問題】なのです。

日本も一帯一路の危険性についてはアメリカ政府と問題意識を共有しており、2019年3月の参院予算審議で当時の安倍晋三首相は一帯一路構想について、日本が協力するには、
・プロジェクトの開放性、
・透明性、
・経済性、
・財政健全性、
の4条件を満たす必要があるとの認識を示している。

同じ頃、麻生太郎副総理兼財務大臣は、「サラ金の多重債務と同じだ」と、中国の一帯一路の金融支援の現状をはっきりと批判した。

まして相手国は刑事罰を科してきているので、尚更、慎重な討議が必要です。

『バカ言うな!』
『思想に反対しただけで犯罪になるか!』
と言う向きもあるでしょう。

では具体例をひとつ示します。

 


世界に衝撃を与えたこのニュース。

再教育施設に収容されたこの方々は、どの様な罪を犯したのでしょうか?

それでも中国は『ジェノサイドは無い』と言い切っています。
そして彼らには、言い切るだけの根拠があるのです。

その根拠とはまさに、この〝中国の夢〟にハッキリと掲げられております。

【中国の夢は中華民族の偉大なる復興】


この一文には、中国が起こしている全ての非人道的な行為の中に散りばめられている〝残虐〟と言うふた文字を、完全に解放(否定)してしまっていると言う根拠を有しております。

日本を含む諸外国が、この問題を「人権問題である!」と、追求しても、彼らには中華民族の構成に必要な再教育である。つまり中国国内の教育問題にお置き換えて( ここでは〝すり替え〟とは言わず敢えて〝置き換え〟と表記します)答弁をしております。
彼らからすると、人権問題を指摘する海外の全ての糾弾は、中国国内の教育方針に対する完全なる〝内政干渉〟であると言う論点に持ち込んでしまっているのです。
これでは勝ち目がありません。
また下記のニュースの様に、各国からの厳しい要求に対しては、回答も記載もしないという戦術で逃げています。

 

日本人に分かりやすく例をあげて説明すると、台湾を攻略しようとしている中国の主張、また香港を事実上制圧したその行動の根拠もここにあります

ここに出てくる【中華民族】とは?
と言う観点から見てみると、この話しは理解しやすくなります。
 


中華民族(ちゅうかみんぞく)という用語は、中国の国籍を持つ全ての文化的集団(エスニック・グループ)を統合した政治的共同体(ネーション)を表す概念である。

現在の中国共産党などは漢族のほか、蒙古族、満州族、チベット族やウイグル族などの少数民族も中華民族を構成する民族として含まれている。例えば、中国への遠征中に亡くなった蒙古族のチンギス・ハーンは、中国共産党では「中華民族の英雄」と扱われている。

彼らは宗教も文化も歴史も異なるチベットやウィグル族を、中国を実質的に支配する〝漢民族〟と同化させる事。もしそれに従わなければ〝再教育〟する等、既に国の是である教育方針のひとつとして定義させております。
これは〝中国の夢〟と言う理念に沿っているのです。

ここにもまた、その施行の根拠としているものは〝法律〟では無く〝概念〟である、と記されております。

そう。

人治国家ではそのトップに立つ人の〝概念〟等が、その国を支えてきているあらゆる法を超え、全てを支配する為の理由の根拠になるのです。

この点についてマカオの法律家に確認しました。
『この国は三権分立では無い。もちろんその方向ではあるが、正三角形では無い』と、言われました。
『三権を構成している司法・立法・行政のうち、行政が司法と立法より先行している』と明言しました。
つまり法律を司る司法よりも、法を作る立法府よりも、行政が先頭を切っていると言うのです。
きっと極端な二等編三角形なのでしょう。

例えて言うと大阪を牛耳る維新の会の手法です。
維新を見ていると中国共産党と親和性が高く感じるのは、法より何より維新の連中のやる事が、全てを置いて優先させてしまっている為にそう感じさせるのでしょう。

香港を潰す前、香港・マカオに仕掛けた事。
広東語の廃止を目指し、国語(中国普通語)教育を強化し広東人と言う民族を一本化する事。
さらには上海など、諸外国との交流が進んでいる地域にいち早く導入された、その国の国民が、外国の情報を得る事が出来ない様にする為の、外国語(特に英語)教育の廃止がこれに続きます。


昨年、香港・マカオは共に国安法の強化版とも言うべき
【反外国制裁法】
の成立に怯えていました。
この地域の民主主義の根幹が覆されそうな危機だったのです。しかし米国の強い経済制裁等をこれ以上拡げられないと言う思惑も働き、その案は見送られました。そう言う意味で香港・マカオにとっては米国様様でした。
 

そして今は中国本土と同じ言葉を話す【台湾】が標的になっているのです。
いくら賢い人が
『台湾は歴史的に一度も中国になっていない』
と叫んでも無駄です。

なぜなら彼らは〝同じ中国語を話すから中華民族である〟と言う、動かし難い決定的な事実をその根拠としているからです。
『中華民族が支配している土地だから、そこは中国なのだ!』
と言う論理です。
だから統治する気満々であり、実効支配を目指しています。

もし心ある日本人が彼らに抗議したとしましょう。
『彼ら(台湾)は歴史的に見ても中国じゃない!』
すると彼らはこう言います。
『じゃあそこに住む人は日本人なのか?一体、何語を喋っているのか教えてくれ?』
100%、そう切り返してくるでしょう。

当然ながら多くの台湾人は反対の声を上げます。
『冗談も休み休み言え!俺たちは台湾人だ!』と。
しかしその中から必ずと言っていいほど、こう言う者たちが現れます。
『俺たちの元は中国にルーツがある。だから台湾は中国の一部なんだ。』

そう考えると、なぜ中国が日本に多くの中国人を、何らかの理由で移民させているかが分かるでしょう?
なぜ日本に住む中国人が、日本語を一言も話せないのにそこにいるのか分かるでしょう?
必要ないんです。
そこに自分達のコミュニティーを作り、あとはそれを拡大させるだけですから。


一帯一路は後から網を被せることができる


これが一番危険なのです。

今回の上海電力。
咲洲のメガソーラーが出来たのが2014年の事です。

そしてこれを中国政府が
『G7初の一帯一路エネルギー施設の建設に成功!』
と騒ぎ出して来たのが2017年です。


建設時の約束がどうなっていたかは追跡している専門家に任せるとして、一般的に時系列で追うと、完全なる後出しジャンケンです。
まるで過去に自分の横に一瞬でも並んだ女性を『俺の彼女だ(った)❣️』と言い張っている様なモノです。

しかし当事者国がそう言っているのであれば、こちらが認める認めないは別として、彼らは政府の発表で『そうだ!』と断定してしまっている為、防ぎ様がないのです。

本件を追跡しているジャーナリストや議員が
『これはダメだ!』
と言っているのか?と言う答えも、またココにあります。

例えば咲洲メガソーラーを参考例に挙げますが、本件の契約は単純に地方自治体と事業者とのあいだの太陽光発電を行う為の土地の賃貸借契約に過ぎません。
何度でも言いますが、それ以上でもそれ以下でもありません。
あとは事業者は契約に従って粛々と事業を継続し、契約を遵守して履行すれば良いのです。

それをある日突然、
『これは中国の代表である習近平国家主席が掲げる〝中国の夢〟の政策の主軸である〝一帯一路〟の中でも最も重要な、先進国主要七カ国の一番最初に出来た太陽光発電の成功例なのである』
と喧伝した訳です。
それが今回の咲洲メガソーラーなのです。

契約当初、その契約内容に

〝中国の政治的主張を汲み込んだプロパガンダを体現する施設に使用する〟

とは無かったはずです。
しかし結果的には、その様になってしまいました。

〝自然かつ文化的な施設を建設する〟
と契約して自治体が土地を貸したら、オウム真理教のサティアンを作ったと言うのと同じ事です。

なぜ後になってこう言う事態になるのか?を考えると、いくつかの大きな要因が考えられます。

  1. 元々、中国側がそれを計画していて、あとで宣言するタイミングを図っていた。
  2. 中国側に後付けでも何でも宣言しなければならない事情が生じた。

(1)のケースは上海電力
(2)のケースは港湾関係

が、当てはまります。

私の個人的な考えでは(1)-3:7-(2)の割合ではないだろうか?と感じます。

なぜならこの〝一帯一路〟について中国が加速してきたのが2017年以降だからです。

下記にもリンクを貼っておりますが、大阪維新の会が当時の在大阪中国領事館の李 天蘭領事を招いて一帯一路に加わる為の講義を受けたのは2017年6月13日です。
       

イシンジャーがデマだなんだ騒いでいますが、文句があるんならこのサイトの運営者である中華人民共和国外交部に文句を言ってください。

中華人民共和国 外交部連絡先(本当ですよ)
  • 住  所:北京市东城区干面胡同57号
  • 郵便番号:100010
  • 電  話:+86-010-65250962,65276580
  • FAX      :+86-010-65122507

この会合に関しては遡る事、約二ヶ月前の2017年4月2日に、大阪維新の会 中川剛 貝塚市議会議員がこの様な記事を自身のブログでアップしている。
 

皆さん、こんにちは
大阪維新の会 貝塚市議会議員 中川 剛 です。

こんな書き出しから始まったこのblogだが、最後の最後に気になる記述がある。

昨日は、中華人民共和国 駐大阪総領事館 李総領事、劉副総領事、領事館も職員さんが『ほの字の里』に来て頂きました。日中友好、山手地区活性化、貝塚市の発展の為、今井豊議長と連携をして頑張っていきたいと思います。

衝撃オファーを頂きましたので、話を詰めていきたいと思います。

『衝撃オファーを頂きましたので、話を詰めていきたいと思います。』


どんな衝撃のオファーなんでしょうか?
これ以上の記述が無いので分かりません。
が、しかし日付から見ると、その後の6月17日の〝中国領事に学ぶ!輝け!大阪維新の会 一帯一路 勉強会〟へと繋がって行ったとしても不思議では無いですよね?

そして同年12月28日、衝撃的な中国政府一帯一路エネルギー政策サイトに於いて、南港の咲洲メガソーラーが掲載されると言う事態に至ります。
 


なぜこの2017年を境に急速に動き出したのか?
それには米国の政治事情が大きく影響しております。
       

この2017年1月20日に新大統領であるドナルド・トランプが打ち出した『アメリカ・ファースト!』は、それまで米国内でやり放題、中国に流出し放題になっていたカネ・モノ・技術の流れを食い止める事を意味しており、また事実、食い止める事に成功します。

それは中国にとって、海外での目論みが思う様に行かなくなっていった事を意味します。
事実、これは2018-2019年と貿易戦争ーそして貿易制裁へと激しさを増していきます。

中国はその活動拠点を米国から日本へと移していったと言う事例が実際に多く発生しております。
その旗印として、日本へ一帯一路の網をステルス式に掛けていき、ここまで出ている証拠から、大阪の維新の会を中心にそれらを引き受けて、水面下で着々と準備していたと断言しても良いでしょう。

ーーーーー後編へと続く