@大阪IR 現状の問題にさらに一歩踏み込んでみる。



 YouTubeの第三弾を12/27日にUPすると言っていたが、結構忙しく時間が経過してしまった。大阪は期日が迫っており、早くこの計画が荒唐無稽な戯言だったと言う事を証明しなければ、今後計画通りで三十五年、経済的損失を考えると50年は負の遺産に苦しむ事となる。
 一方の松井市長は菅元総理のパイプしか無い為、、早速、ゴリ押しにゴリ押しを重ねるトンデモ人事を人事を敢行してきた。  ただ裏を返せば追い詰められている事は事実であり、他に切るカードも無いのだろうな?と思えば、取るに足らない稚拙な戦略ではあるが。

 さて第三弾の動画は一番下に置いておきますのでご覧ください。このBlogでは動画で語っているポイントをあらためて書き出しておきます。

 MGMは1兆円企業ではあるものの、前回迄に大阪の計画書は相当な数字のマシマシをしている事を説明した。



 やはり松井市長が押してくるのはMGMの事業規模。カジノ部分だけで1兆円(正確には1兆2,000億円)の売り上げを持っている凄い会社だよ!がポイントであろうが、これこそ分析が不足過ぎるポイントでもある。

  1. 1兆2,000億円の売り上げはあくまでもマカオを含む12以上のカジノの総合計の数字である事。
  2. Gr.内でマカオは3,900億円を稼ぎ出しているが、それは二つの施設の合計であり更に先ごろ摘発、解散に追い込まれた太陽城等のジャンケットの売り上げ(全体の39%)を含んでいる事。
  3. MGMは今後、アジアに注力するとしているが、そのアジアの中心であるマカオのジャンケットを除いた平場の売り上げを見ると、二施設の合計は2,400億円となり一施設の売り上げは1,200億円程度である事。
  4. この数字は別段米国より特に優れた数字とは言えず、単に他国では違法行為となるジャンケットの数字が優れていただけであり、今後、MGMは企業全体の戦略の見直しの可能性も有り得ると言う事。
  5. そうなると決算書から導かれる数字は一施設あたり平均値1,200億円前後の売り上げが大体の相場になる事を固定させて考えても差し支えないと言える事。
  6. これは現在、大阪府市が提示しているカジノの売り上げが約4,000億円前後(大阪府市が出す資料が新しく出る度に数字が上がって行くので、一旦4,000億円前後で落ち着かせる)とは程遠い数字である事は明らかである事。
  7. 従って大阪府市への納付金のモデルケースとしている金額の見積もりも、現実離れどころか荒唐無稽な数字である事は誰の目にも明らかである事。


 カジノ行為粗収益が15%としているが、このパーセンテージも世界のカジノを見ると有り得ない数字。しかしながら私はこのプロジェクトのコンサルでもなんでも無いので、相場や適切な数字は書かないでおきます。
 今は一旦15%としておいたとして、3,800億円のカジノの売上げから550億円が大阪に入るとしている。しかし前記の様にこの3,800億円のカジノの売上げという数字は絶対に出ませんから、MGMの平均値である1,200億円から15%を計算すると180億円と言う数字が弾き出される。入場料についてもタヌキが算盤を弾いているので、とてもじゃないがこの数字は出ない。

そこで非常に興味深い記事が今年の11/8にゲーミングサイトに掲載されているので引用する。


非常に気になる部分を抜粋する。

非常に注目に値する発言も。IRへの来場者数や売上予測が2019年のものより上回っていること及び投資対効果について問われたオリックス側は、「この数字は大阪府・市が作成したもので仮置き」とした上で、「もともとインバウンド等を勘案した上で、数年前からやっていたが、今は客は全員日本人、日本人だけでどれだけ回るか、その前提でプランニングを作っている。10年、20年、何年くらいやれるかと言うこともあるが、十分10%以上のIRRは回せることを前提に試算している。MGMは我々の試算の約2倍の数字を出してきているが、私どもはあまりあてにしていない。我々のコンサバティブな数字を作った上で、日本の投資家だけで、日本の顧客だけでやってみて、そのぐらいのレベルになるだろうということで今進めている」と回答した。
 
 さすが総合フィナンシャルカンパニーだけあって、数字の詰めは石橋を叩きまくっている印象を受ける。しかし細かに検証していくと、この指摘はごもっともではあるものの、事業当事者としてこの様な発言をすると、現状はかなりチグハグな状況に陥っている事を自らバラしてしまっている様に読み取れてしまう。

オリックスの主張を要約すると、

IRへの来場者数や売上予測が2019年のものより上回っており、この数字は大阪府・市が作成したもので仮置きインバウンド等を勘案した上で、数年前からやっていた

とある。

 しかし件の大阪側の最新の資料作成日は2020年12月21日である。その最新の作成(提出)日から考えるとコロナで変わってしまった一年前から、時間が経過している訳で、インバウンドが今まで通りにはいかない状況になったと言う事を織り込んでいるはず。で、あるとしたらこのオリックスの文言である〝仮置き〟と言う表現は大阪を気遣っているのかは知らないが、客観的に読んでいても違和感を覚える文言であるし、事業当事者としてこの様に言ってしまうのは如何なモノか?と思う。何よりも大阪府市は〝試算〟とは表記していても、数字そのものが〝仮置き〟とは表現していないのです。〝試算〟とは〝仮置きの数字〟よりも、遥かに精度が上がったものを指すと思うが、それは私の間違いか?


またその先で

MGMは我々の試算の約2倍の数字を出してきているが、私どもはあまりあてにしていない我々のコンサバティブな数字を作った上で、日本の投資家だけで、日本の顧客だけでやってみて、そのぐらいのレベルになるだろうということで今進めている

とも述べている。

さてこれが事実とすると、松井市長のこの発言は大いに問題となるのではないのだろうか?



 つまり肝心要の①.事業者とコンセンサスの取れていない金額を収入だとして発言している訳であり、②.その確定していない金額を軸に府市の予算を拠出しようとしている訳です。また異なる意見に対し『お前、何言うてんねん?』とも、のたまわっている。 

 当事者のオリックスは『MGMさんはあー言ってるけど。』
一方のMGMはオリックスとは異なる目論見を出す。
他方、行政は事業者とは異なる、少なからず事業当事者から
『あれはウチらとは違っていまして…』
と言われる始末。


ちょっと待て!と言いたい。

 『あんたら会社は一つとちゃいますの?』と言われて当然の事業組織形態である訳であるし、これを大阪IR株式会社とするのであれば、この11/8の記事に於いて『MGMが〜』『いや大阪府市が〜』とメディアに語るべきでは無いと断言する。
 もちろんこれはオリックスの担当者の不注意かもしれないが、仮にもしそうであるとしたら、随分とメディアに対し不用意な情報発信であると言える。
 
 またこの大阪IR株式会社と言うのが事業母体であるとするのであれば、組織構成に大阪府市関連が5%でも入っていないのも如何なものか?と思う。
 このあたりIR法の構成の問題だったとしても、この法人の構成形態であるとすると、行政としての話し合いは出来るものの権限が何も無い。どうしてそれが必要なのか?と言うとオリックスのこの発言にある。

10年、20年、何年くらいやれるかと言うこともあるが、十分10%以上のIRRは回せることを前提に試算している。

大阪府市側のインフォメーションでは三十五年間と明記されている。


 しかし一方の発言で『はて?何年続きますかね?』と言うのであれば、大阪IRの契約の基本となる三十五年と言う契約期間は何なの?とも捉えられかねない話しになる。

そうなると、
  • 条件(経営状況)が悪くなれば引くのではないか?
  • 実はまだ確定では無いのではないか?
  • 最後の最後にひっくり返されるのではないか?
と言う空気感をどうしても感じざるを得ないのです。

そうであったとしても、後手後手にまわる構造である事には変わらない。

 また平成30年4月27日 特定複合観光施設区域整備推進本部(官邸)が発布している特定複合観光施設区域整備法案(IR法案)に目を通すと一番肝心要の部分が完全に抜け落ちている。
 
 実はこの抜け落ちている部分、非常に重要なポイントであり、ことカジノに関しては日本政府など取るに足らないほどの知識と経験を有しているMGMはこの法案の穴(日本政府側の重大な見落としか?)をとっくに見抜いていると見て取れる節がある。

このオリックスの前記の発言であるこの部分。日本側が空けた大穴がどれだけ大きいかが見て取れる。。

MGMは我々の試算の約2倍の数字を出してきているが、私どもはあまりあてにしていない

 カジノ部分の売り上げの数字が〝あまりにも唐突〟と言って良い程の飛び抜けた数字だった為『大阪府市に頼まれて言っているのではないか?』等、水面下で様々な憶測を呼んでいた。しかし仮に頼まれて書いたとしても、それは後でMGMが責められる話しになり、誰がどう考えてもMGMにとって〝有利になる話し〟とは到底思えるものでは無い。

 しかしこの法案そのものの土手っ腹に、巨大な節穴が空いていると分かればこれは話しが異なる。私達も含め気が付いた人のカードの為、敢えてここでは書かない。おそらくMGMはこの抜け落ちているカードに気がつき、前進・後退にはたまた離脱をも含め、自分たちは縦横無尽にどうにでもカードを切れると読み取ったのだろう。読み取ったからこそ、敢えて数字を大きくした。そう考えると今までモヤモヤしていた気持ちはスッキリし、納得がいく。
 皆、気が付いていないが、この数字が大きくなり、更にそこへ何も理解していない(と、私は思う)松井市長が乗った。この事で日本サイドはチェックメイトになっている事に気付いていないとは、何とも哀れな局面である。梯子のハメ外しの権利、いや仮に権利が言い過ぎだとしたら、そうできる権限を相手に与えてしまっているとしたら、余りにも脇が甘過ぎだと後から言われるのは目に見えている。

 また法案の中にあるカジノ業務の再委託についての項目が非常に気になる。あれではジャンケット業務が出来てしまうし、パソナあたりが入り込むのも見えている。或いはMGMからノウハウを取って最初からパソナあたりが業務委託で運営に入り込む事を想定しているとしたら、少しは賢いが、行き詰る事は目に見えている。

 カジノを認可する事の大義名分に〝雇用の創出〟がある筈だが、いい加減、パソナの様な業態を排除しないとこの国には本当に希望が無くなる。それはカジノだけでなく、どの業態にも言える筈なのだが…

動画での説明の最終版、UPしました。
このBlogの補足としてご覧ください。