文化人放送局は放送前に事実確認をしないのでしょうか?



(一部加筆修正/2021.12.6,09:06)

いつも山口敬之氏のコメントなどで学ばせて頂いているインターネットTV の文化人放送局ですが、今回は明らかな誤報を流しております。と言うより渡邉哲也氏は本件について、Twitter上でもおかしな事を言っておりました。これは 午前8:08 · 2021年11月29日·Tween のツイートです。

 

 

麻薬取引とマネロンなどの疑いで創業者が逮捕されました


と仰っていて『え?そんな情報あった?』と思い、早速こちらの各メディアの記者に確認。
『そんな話しは無い』と、いずれの方も返答。とりあえず太陽城の広報を知っているのでそちらにもこのツイートのスクショと訳文を送ってありますが、まだ返答は来ておりません。

今回は明らかに誤報と言える内容に加え、別の話し(或いは虚偽)を混同されて語っている事がハッキリと認識できました。
またその〝誤情報〟を長尾敬自民党前衆議院議員が〝事実として〟聞いていて頷いているのを見て「これはマズイな」と、思った次第です。

渡邉氏は太陽城を『山口組と同等の組織』と言っておりますが、その山口組と同等な組織がやってもいない事を〝いちジャーナリスト〟として文字や映像・音声に残したら、そりゃタダじゃおかないですよね?そんな事、分かりきっているはずなのですが、どうしてこんなスリリングな冒険を犯したのでしょうか?

では、どこが間違えているか具体的に1ヶ所ずつ検証していきます。




まず渡邊氏が(0:25)『今年の4月に中国では越境賭博が禁止されました』と仰っております。何かを読み間違えた?と感じたのですが、これは昨年、2020年10月の全人代で草案として以下の様に提出されました。

〝中国の境外の賭博場が中国公民を営業的に誘い込むのを禁ずる〟

これに関する刑法の法改正をすると言う流れになっておりました。2021年1月に行われた第13回全人代でこの法案の修正案が通り、賭博に関する刑罰が厳罰化されました。これが2021年3月1日から施行されております。



主な修正案(翻訳)

  • 中国刑法第303条:利益を得る目的で賭博へ誘い込む事。或いは賭博をビジネスにする事。三年以下の禁錮または懲役または行動制限及び罰金。また賭博場を開いた者は五年以下の禁錮または懲役または行動制限及び罰金。またその内容の重さによって五年以上の懲役と罰金もある。中国の公民を組織的に国境外への賭博へ連れ出す事。巨額または悪質な場合は前記の規定に基づいて処罰をする。

但しこの法律をどの様に施行するかについては、当局はまだ具体的に言及しておりません。


余談ですが、このAll In MediaはIR等に非常に精通しているメディアで、私のオフィスとホテルが揉めた時も随分と助けて頂きました。私の会社で始める予定の情報サイトに記事の掲載をお願いしており、これから日本語でこのAll In Mediaの記事をご案内する事も増えるかと思います(完全に余談です)。


(2:00)『カジノの形態を使って(〜資金移動をしている)』
これは非常に深刻な問題発言です。カジノの経営陣が聞いたら誤報を流したと言う事で問題にするでしょう。IRのいくつかにちょっと伝えてみます。この資金移動はカジノは一切関係ありません。ジャンケットの会社が独自にやっている事です。

これを書いていて、もしかしてこの渡邉氏はジャンケットの成り立ちから理解していないのではないか?と疑問を持ちました。
そこで敢えて、ジャンケットはどこから始まったか?を説明します。

まだマカオのカジノがSTDM(つまり父ちゃんの会社)しかなかった頃、香港のフェリーターミナルには沢山のダフ屋がおり、彼らはフェリーチケットのダフ屋で生計を立てておりました。彼らの殆どはヤクザ者でした。

このフェリー会社も信徳(これも父ちゃんの会社だ)と言うSTDMのグループ会社だった為、一般の観光客にも迷惑が及んでおりました。

これを見かねたスタンリー・ホーが提案しました。
『ダフ屋の行為を止めて欲しい。で、あればこうしたらどうだろうか?あなた達のお客さんを連れてきてください。そのお客さん達のチップには一般客とは別のチップ(レッドチップ)を売ります。そのチップで遊んでくれたら連れてきた人に0.7%をバックします』
と提案。

これがジャンケットの始まりです。

つまりここでも分かる通り、一般客と紹介者ではチップを明確に分けており、のちにこれは一般客用〝レギュラーチップ〟、紹介客は〝レッドチップまたはジャンケットチップ〟として区別されました。
つまりこのジャンケット制度はその始まりから、一般客とジャンケットの客をチップの段階で明確に分けており、カジノは一般客かジャンケットのいずれかに合わせたチップを売るだけなのです。

従ってジャンケットとIRが一緒にアンダーグランドの資金を動かしている様な誤報を流すと、これは場合によってはIRから訴えられる可能性はゼロではありません。この部分についてはIRにとって一番センシティブな部分ですから。例えば〝銀行を含む金融業は、支払いの遅延が発生したら女房と娘を風呂に沈める〟と言っているのと同じです。或いはその様なイメージ付けを意図的にしたかったのかは分かりませんが。

この流れから言って(2:23)からにある『決済サービス業社からチップを得たり〜』は完全に間違えております。上記下線部分の通りです。
ですから自然に(2:38)長尾氏の『会社違っても決済できるんですね』が、誤った情報を受けての次の質問になってしまっています。長尾氏は今こそ大事な時期なので敵(中共)に余計な材料を与えない様にして頂きたいと切に願う者でございます。

そしてここ(3:53)は大問題。
『オーストラリア(クラウン)のマネーロンダリングをサンシティがやった』と言っていますが、これは完全に名誉毀損モノの間違いです。
あれはキンペーの従兄弟がメルコとやりました。この時は太陽城は絡んでいないはずです。或いは絡んでいるのであれば当時の報道でも示して頂いた方がご自身の身の安全を確かなモノにすると思われます。 



メルコとクラウンは、昔マカオで合弁をやっていましたが、中国での営業活動を中国公安に摘発され、その後2017年に合弁を解消。しかし2019年に再度、メルコがクラウンの株を買収。しかしオーストラリア当局から物言いが付き、最終的には2020年5月に両社の関係は完全に解消しました。

そこでこの問題はまず最初にキンペーの従兄弟の件を検証します。この事件は2016年、まだクラウンがメルコと合弁でやっている時に発生しております。当時はメルコ・クラウンと言う会社で中華圏マーケットを展開していた時期の話しです。

この事件に関して、フランスのRFI/繁体字版がWall Street Journalの情報を引用しながら次の様にリポートしております。


華爾街日報引述澳洲官員報道,澳洲警方正在調查中國主席習近平的表弟齊平涉嫌洗黑錢的指控,調查其中一個方向是他到底為誰洗錢。報道指,澳洲執法以及情報機關早前調查一宗涉及黑社會、洗錢以及中國勢力滲入該國的一籃子指控,習近平的表弟齊平亦捲入該案。現年61歲的齊平現在是澳洲公民。

ウォールストリートジャーナルによるとオーストラリアの警察は、中国の習近平国家主席の従兄弟(甥っ子)である齊平が、マネーロンダリングの疑いがあるという申し立てを調査していると報じた、とオーストラリア当局の発表を引用した。調査の1つの方向として彼が誰のためにマネーロンダリングしたかを調べています。報道によると、オーストラリアの司法機関と諜報機関は、ヤクザ社会とマネーロンダリング、そして中国軍のオーストラリア国内への侵入に関する一連の申し立てを調査しました。習近平の従兄弟である齊平もこの事件に関与していました。61歳の齊平は、現在オーストラリアの市民権を持っています。

調査の主だったポイントとして

  • 習近平との共謀は見られなかった
  • 齊平はカジノ及びジャンケットと共謀して動いた形跡はある
  • プライベートジェットはゴールドコーストのエアポートで捜索を受けた
  • その後、問題は無かったとしてニュージーランドに向かって飛び立った
となっております。

この時の状況からこのジャンケットは太陽城であると断定出来るのか?とするのは些か難しい問題です。

なぜなら
  • 当時オーストラリアの太陽城のVIPホールはメルボルンとシドニーにありゴールドコーストには無かった
  • 当時、メルコ・クラウンのジャンケットがあり、送金に疑惑を向けられない為にも、普通で考えればメルコ・クラウンのジャンケットを使うのが当たり前である事
  • そうであったからこそ、クラウンホテルが厳しい調査を受けたこと
等から、ここでどうして太陽城の名前が出てくるのか、ちょっと辻褄が合わない気がします。ここも改めて太陽城に聞いてみたいと思います。

そして最大の誤報は(7:50)、
太陽城(サンシティ)のアルビン・チャオが中国に逮捕された
とありますが、これは完全なる間違いです。またこの話し方ですと中国当局がVIPルームを閉めたと聞こえますが、ここまでくるともう〝言い間違い〟と信じたいです。これらは完全に誤報です。


アルビンは11/27にマカオ警察に自首 中国には逮捕されていない 

11/26に中国温州の公安からアルビンに対する逮捕状が出ましたが、それはネット上(微博)に流しただけであり、実際にはマカオの警察にも逮捕の依頼や捜査協力は無かったと言う説明を、マカオ司法警察のスポークスマンである鍾 錦良氏から発表されました。

マカオ警察のトップである黄 少澤保安長官は『本件はマカオの司法警察が2019年頃から捜査を始めていた事件であり、前日の中国での逮捕状の発布の情報を知り、それによって証拠が消えてしまう事を憂慮した』と述べております。

黃少澤: 周焯華案已通報特首

原文:
強調其中 1個清晰條件是內地公布了(案件),警方需要行動,否則有些證據會流失。
 
また同時に中国本土とマカオの間の警察の取り決めとして、犯人の引き渡し条項が無い事を挙げ、これは中国側と関係無くマカオの法に則って行った逮捕である事を強調しました。

で、実際にこの逮捕劇は一体なんだったんだ?と独自に調べました。それはリモートライブカジノをやっていたのです。いや、実はこれ、数年前にVIPホールのスタッフから『そんな事、やってんだよ』と聞いていたので、今回、調べていてすぐに「あ、あれかぁ!」となりました。

これはVIPホール内の例えばバカラだったとしましょう。そこにカメラを設置しwechatなどでライブで流すのです。それをプレイヤーは中国本土にいて賭けていく、と言う、完全に違法ライブチャット形式カジノをやっていた、と。これはもう完全にアウトです。これを中国本土⇄フィリピンと結んでやっていたとの事。これはマカオ政府のカジノ監査局からしたら、到底見過ごす事はできない事実です。ですので保安長官の記者会見でも、ジャンケットのプラットフォームを悪用し、と怒気を含んだ言い方をしておりました。

さて事のあらましはこの様な流れですが、私が今回、渡邉氏のこの言動はまずいな、と感じた理由を書きます。

保守の一丁目一番地とはなんでしょうか?
それは人によって様々でしょう。
政治信条の立ち位置でもあり、国防でもあり。
しかし私が考える保守の一丁目一番地、それは〝誠実〟である事だと思っています。

何をイモくさいことを!と言われそうですが、これは事実だと信じています。

なぜなら、対するリベラルはどうでしょうか?
嘘・脅し・歪曲と、何でもありです。
つまり保守が理想へのランニングだとすると、リベラルは人間の欲望の泥沼への一本道です。

つまり保守とは、どこまでも事実に沿って的確に一つ一つ検証と証拠を重ねていきながら、積み上げていくその結果が一つの理念として〝保守〟になるのだと思っております。

従ってそこには結果的に間違ってしまう事は仕方がないとして、故意に相手を貶めようとか、評判を悪くしてやろうかとか、そういう事は御法度だと思っております。そう言う意味から言うと、保守を掲げて情報弱者から小銭を吸い上げる大澤昇平は〝史上最年少のクビになった東大准教授〟だけではなく、【史上最低の人格を持った、ただの輩である】と言い切ることができるのです。それはご自身の行為そのもので、それを証明してしまっているのは皆さんが実際に見てしまい、周知の事実となっております。

この大澤を持ち上げた月刊willは、その後、続出するであろう大澤の被害者にどう対処するのか、興味深いところではありますが、今回、もう一方の保守の砦とも言うべき文化人放送局が結果として、誤認を与えてしまうような報道をしてしまった。これは本当に危険だと思います。

この話を信じた長尾氏が時局講演会などでこの事を語ったとしましょう。これは事実とかけ離れた内容ですから、中国共産党や実際の関係者から突っ込まれた時に、言い訳ができません。

どうか文化人放送局におかれましては、エビデンスの上にもう一枚掛け布団がわりのエビデンスを重ね合わせ、くれぐれも慎重な報道をされるよう、切に願います。



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