ひろゆきさん、ナニを言っているんでしょうか?

 このところ、ヘビーな話しが連続したので、少し肩の力を抜きましょう。 
ひろゆき氏の【86蘊蓄】が炎上しているとかで、元々、炎上商法だから彼にとってはこれが正しいのかもしれませんが、結果、いつか朽ち果てるやり方ですよね?賢いやり方では無いです。



 資産形成の話しをしているのは分かるのだけれど、仮にその商材が果物の〝ブドウ〟だったとして、それを指してこの〝ブドウ〟の起源は武士道の〝武道〟(ぶどう)ですって言ったら普通は『はぁ?』ってなるでしょ?

 前々から言っている事だが、とにかく浅い。このところその浅さがパワーアップしてきています。なんですかね?何かに焦っている感じがします。



 ところで軽い蘊蓄ですが、その初代トヨタ86(商品名はカローラ スプリンター トレノ)の開発にはロータスが関わっていました。その後に出る初代MR2も深くロータスのエンジニアリングは関与していますが、この86も同様にロータスの関与が随所で見られます。

 この事に最初に気が付いたのは97年頃、〝くるまにあ〟と言う雑誌の〝ロータス・クライマックス〟と言う特集の記事を書いていた時の事です。

 英語の海外で出版されているロータスのヒストリーと日本語でネコパブあたりで出ているものと若干ですが差異がありました。まぁこう言う性格はずっとでして『これはおかしい』と思い、洋書を翻訳しながら紐解きました。それらの洋書は自分がヨーロッパへ行き専門の書店やファクトリーで買って来たもので、今みたく簡単に情報が手に入る様なものでは無く、それはそれは貴重な情報源でした。

 そこで一台のプロトタイプが目に止まるのです。M90(X100)と名付けられたそのクルマ。どっかで見た事ありませんか?


 分かる人はホイール見てニヤニヤしそうですね。このA60型セリカXXもロータスが開発に関わり、ロータスの代表 アントニオ・コーリン・ブルース・チャップマン自身がこのクルマのTV CMに出演しておりました。

トヨタ セリカ XX (米国名:スープラ)

 このM90はトヨタのコンポーネンツで造ったクルマで1984年に発表されました。排気量は1.6L N/A。FR(フロントエンジン/リアドライブ)方式。但しロータスはシャーシはバックボーンフレームです。

 ロータスは70年代の終わり、深刻な経営危機に見舞われ、トヨタに株を売却。一時期はトヨタはロータスを積極的に開発やPRに使っておりました。ケチが付いたのはデロリアン事件。詐欺の嫌疑が掛かり、チャップマンは逮捕寸前と言う話しまで出て来ました。
 実際にそれがFBIのトラップだったにせよ、ジョン・Z・デロリアンは逮捕。これは無実を証明できましたが1985年に別の罪で逮捕、有罪。更に当時F1チームのメインスポンサーだったESEEX石油の代表であるデビッド・ティーメは1981年にチューリッヒのエアポートで逮捕とロクな状況では無かったと考えられます。


 その合間を縫う様にロータスの創立者、チャップマンは1982年12月16日、突然の訃報が世界を巡りますが、コーリンの遺体を見た人は誰もいません。その後、ブラジルでの目撃情報が寄せられるなど、最後までミステリーに満ちたストーリーでもあり、また東西冷戦を挟み、様々な憶測を生み出す時代背景でもありました。

 さてこのチャップマンが最後に手がけたプロジェクトがこのM90と言われており、遡る事、数年前よりトヨタに株を売却していた関係から、まずトヨタの仕事をこなす。そしてそのコンポーネンツを使い、自社のロータス製品に活かしていく。こんな関係が続いていた時期でした。

 当時、高級GT路線へシフトしたロータスはエクラを発表しますが、誰がどう見てもセリカXXの兄妹車。


 しかしシリーズの後期型はトヨタのコンポーネンツを使い、安定供給も相まってクルマのクオリティーが上がっていきます。


 この写真はネットの拾いですが、私が所有していたロータスエクセルで間違い無く、あらゆる部品にトヨタ製を使っていたのが特徴でした。エアコン、ブレーキシステム、ステアリングシステムと、ほぼトヨタでしたね。

 話しは戻し、今ではAE86と呼ばれるトヨタレビン。コックピットの造形を見比べてください。

M90のコックピットとダッシュ周り

M90のステアリングはセリカでも同じものが採用されていました。

Car and Driver より

こちらがAE86のコックピット、ダッシュ周りの写真。

web モーターマガジンより

ヘッドライトを上げたM90。そっくりでしょ?


MotorFan より


クローズドタイプのM90

 AE86は頭文字Dで人気が再燃し、今に至る訳ですが当時、〝くるまにあ〟でこれを発見してしまった私は「何とかこれを記事にできないか?」と編集部に懇願しました。が、残念ながら紙面が限られている事やその時の企画からははみ出る事、メーカーが発表していない事なのでクレームが出たらマズイなど様々な理由で『次の機会を作る』と言われました。


 ところが、この時に書いた記事、日本の第一人者の定説を覆す記述が何点かあり、それに大御所が激怒したらしく以後、私に執筆依頼は一切無くなりました。
 まぁ日本って国と国民性は、事実よりも〝その業界の序列〟が最優先らしいので仕方がないです。この数日、私が書いた河野家の記事も〝バリバリの保守の言論サイト〟の偉い人が黙殺どころか『評論家殿の調べた内容と違うから消せないか?』と打診してくる始末。あっちは『サイトで調べた』と言っており、私は中国政府発行の〝謄本〟で調べましたからね。日本の保守って東大つまみ出されたセンセイとか、そんなのばっかか…と、非常に残念な気分であります。まぁこのblogこそ便所の落書きなので真に受けなくて結構です、はい。
 きっと保守の先生方も〝その中で権威〟を得る事に必死なのでしょう。だから〝貧乏人〟使ったらダメなんです。ムキになるから。ムキになると人間は負けそうになると嘘でも何でも言い出します。そう言う〝必死さ〟を今のひろゆき氏に感じるのは私だけでしょうか?

 ひろゆき氏はお金のシステムを説明するに、一つの例としてAE86を出したに過ぎません。しかしそれを言うならカウンタックだって、356BBだって鉄屑で資産価値なんか0円ですよ。けど欲しい人が存在する台数を上回るから結果として値がついて上がる訳じゃないですか?


 それって世間一般の言葉で【相場】ですよね?ご自身が投資だ何だ言っていて、真正面から〝相場〟を否定するかの様な発言に驚くと共に、人を納得させる題材として出したものくらい、そのヒストリーやこの文章の様な〝もう一つの86の物語〟を書けるくらい勉強しましょうよ。

だから浅いんです。
メンタリストDaiGoもそうだけど、浅い中でやっていくと、最後は自爆です。

ではでは。



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