TIMING

昨日は朝から香港で業務。

お叱りあり、注意あり、また新しい情報ありと収穫の多い一日でした。
そこで気になったひと言。

『それをやるとあなたも同類だよ』と言うニュアンス。
勿論そう言う言い方では無いが、詰めるとそうなる。
なるほど人はリスクを請け負うとそう感じるか、或いはそう言う見方をするのか?と知った。

自分は基本的に人の目は気にしない性格なので考えてもみなかった事だった。故にむしろ新鮮だった。

自分は"誰かの為"に仕事をしていない。

あくまでも自分の挑戦と家族、そして海外ビジネスに付き物の"日本人の間だけで流れている都市伝説"を破る為にやっている。

そこがクリアになれば、後から続くものは同じ事をするにしてもより容易に次のステップを難なくクリアするだろうと考えている。

この原点はもしかしたら2008-2010年の上海時代のあの悔しい体験から来ているかもしれないと思った。



元BAR HONDA F1車体設計責任者のT氏と共に上海のテレビ塔を眺めていた。彼は翌年、中国で大ヒットとなるCR-Vの開発責任者として中国マーケットを見つめていた。

喧騒の中でライトアップされたタワーを二人で見て、
『悔しいねぇ…』
「悔しいですね…」
『(中国人を指して)こいつら勝ったと思っているでしょうね…』

当時、空前の万博景気に沸く上海。

2005-2007年当時、上海人が一番乗りたく無いクルマはVWだった。右を見ても左を見てもVWだらけ。上海の中産階級の人々は圧倒的に"トヨタに乗りたい"と考えていた。

これを知ったVWは本国の肝入りでVWシロッコカップを企画する。"VWはドイツのメーカーだよ"と知らしめるのが本当の目的だった。一方トヨタはYaris(日本名Vit'z)を中国で売ろうとしていた。

奇しくもVWシロッコカップのプランニングは当時の上司のイタリア人に、Yaris Cupは上海電通を通じて自分にプランニングの依頼が来た。

結果、VWのプレゼンは落ち、Yarisは残った。
そこへリーマンショック。
全てがペンディングとなる。

更にトヨタは米国での大規模リコール問題と言う史上最悪のヤラセ事件に足を掬われる。

VWから再度、連絡。"もっと販売に直結したプランニングを!"と再リクエスト。結局、Yaris用に作った企画書をVWに差し替えてプレゼン。見事通過し、その後の中国のVWの強みの一旦を担う。

その後、日本のシンクタンクから接触があり、日本のメーカーと繋がる。視察の一コマが上記の会話。

やってみたは良いが、自国の会社が総崩れするところを見る羽目になってしまった。そう考えると自分はA級戦犯。
韓国は国をあげて中国にビジネスの総攻撃。日本は反日運動などでボロボロ。物は売れない。我が国の政府は美辞麗句に飾られた実態を伴わない弱腰外交。中国人は次々に勝鬨を挙げていく。

まさにそんな時期だった。

しかしその一方で自分の企画が外国企業を動かせるものである事を知ったのも事実だし、接触をして来た財閥系シンクタンクはそれから長きに渡って仕事を発注してくれているのもまた事実だった。

「後は環境が整えば勝てる」

そう思って結果マカオに来て理想的なパートーナーである現在の妻と結婚し人生の勝機を得た。

次のステップは"日本人が勝ちを得る事"。その為には情報共有をできる限りし、それぞれの得意分野でリンクする。今はココだと思っている。

これまた偶然か香港オフィスに到着すると日本の社長から電話が入り、『今のあり方を180度変えた方が良いのでは無いか?』と言って来た。朝のミーティングでそれを感じたし"うちの会社で業務を買取ってやった方が早いかな"と言うのが率直な感想だった。

後はそれを"いつ"やるか?

タイミングの問題だ。